haruka nakamuraはインスト系といえばインスト系だが、少しジャンルが違う。彼の肩書きもミュージシャンやアーティストというよりは音楽家、と言った方がそのたたずまいに合っている気がする。ボーカルがない音楽がほとんどなのに、ボーカルがある曲以上に言葉を発しているような錯覚に陥る、感情を揺さぶるような音楽を数多くつくっている。
この『Lang』は個人的にharuka nakamuraのなかでもいちばん魂が揺さぶられる音楽である。ついうっかり聴くと涙が流れてしまうような。
この曲には夕暮れが似合う。当たり前のような1日を送ったかもしれない。でも夕暮れ時、日が沈んで夜がやってこようとする時、今日を大切にできただろうか、このまま1日にカーテンコールをしてもいいだろうか、自戒させてくれる。もったいない1日を送ってしまったと振り返って手を伸ばすことのないように、夕暮れに涙しないために、その時その時を大切に使おうと思わせてくれる、不思議な音楽。
時間が有限でとても貴重なもので、今この瞬間も掌から零れ落ちていることを強く意識させてくれるような音楽。もっと自分を奮い立たせて、いつか掲げていたはずの目標に向かって頑張らなきゃ、と現在位置の確認と新たな誓いを立ててくれるような、そんな救ってくれる系音楽。
【Artist information】
haruka nakamura